一般文芸の女女作品を紹介する(6選)
はじめまして!
真鯛です。
アドベントカレンダーの企画で記事を書くことになったので、ブログを開設してみました。
百合に関するものならなんでも、という企画なんですが、色々考えた末素直に作品紹介をすることにしました。
アニメとか漫画とかライトノベルとかゲームとかは私より詳しい人がたくさんいるので、そちらはお任せして、私は一般文芸で行こうと思います。
私の短いアンテナでキャッチできた、ほんのひとつまみの作品を紹介していくゼェ〜〜〜
作品の選び方
まあ百合に関するもの、っていうことらしいですけど。
百合っていう言葉は便利ですよね。私もよく使います。
そして私は百合が好きです。
ただまあなんというか、百合という言葉が便利な分、結構議論を呼ぶというかなんというか面倒だなと思うこともあるんですよね。
今回はそういう難しい話がしたいわけじゃないので、じゃんじゃん「百合」という言葉から逃げていこうと思います!
百合の脱構築!(多分違う)
というわけで作品の選び方なんですが、女性と女性の関係が私に刺さったもの、という大変主観的かつ緩やかな基準を使わせていただきます。
そしてそんな基準で6作品を選びました。
少ねえなあ、とか言わないでください!
むしろちょうどいいだろうが!
どうせ十選とか二十選とか百選とかあったところで、積読を肥やすだけなんだろ、お前達は。
嘘です。それは私です。ごめんなさい。
正直に言うと、私が読んでる作品がまだ少なくてこのくらいしか選べませんでした。
・『生のみ生のままで』綿矢りさ
・『ひらいて』綿矢りさ
・『白い薔薇の淵まで』中山可穂
・『花伽藍』中山可穂
・『ババヤガの夜』王谷晶
・『完璧じゃない、あたしたち』王谷晶
ここから一つ一つ紹介していきます!
生のみ生のままで
綿矢りさ先生の比較的近年の作品。つい最近文庫化されたところ! これは嬉しい。
これは結構しっかり恋愛に向き合う作品で、情熱的で耽美的です。
察しのいい皆様なら、私が何を言いたいのかわかったはず。
はい。
まあとにかく読んでください。
二人とも男性の恋人がいるのに、どうしようもなく惹かれあっていく過程が最高です。
女だから好き、とかそういうことじゃなくて、「あなた」が好き。
始まりから終わりまで「あなた」と「わたし」の物語。
「あなた」と「わたし」に向き合うこと、それが恋愛におけるひたむきさなのかなって思います。
ひらいて
同じく綿矢りさ先生の作品なんですが、これめちゃくちゃ好きなんですよ。
とにかく読んで欲しくて、友達におすすめ教えてと言われたらまずコレっていうくらいです。
主人公の女子高生(名前は愛)が恋をした男子には、美雪という名前の恋人がいて……
という話なんです。
主人公の高校生らしい、ナイフみたいに尖った破壊的な感情とか、まだ扱い切れていない性的な衝動とかが美雪に向いていくんですよね。
ひとつ前に紹介した『生のみ生のままで』とは違って、主人公から美雪に向けられる感情は恋愛ではないのが明確なんです。
それでも、支配したい気持ちとか、壊したい気持ちとかは確実にあって。
そういうごちゃ混ぜになった気持ちをどう着地させるのか、というところにすごく読み応えがあります。
女子高生と女子高生の間のごちゃごちゃになった感情、私の好みでしかないですね!
文庫でページ数もあまり多くないので、是非読んでみてください!
白い薔薇の淵まで
もう、説明は要らねえよなあ、って書こうとしましたが、そういうわけにもいかないですよね。
この作品はすごいです。
これもすごく女性同士の恋愛をしっかり描いた作品なんですが、とにかく激しい。
何もかもを失いながら、壊しながら突き進んでいく二人、という感じです。
人間にこんない激しい感情って、あるんですね。
すごい。
私が長く語ってもこの作品の良さが伝わるわけではないので、是非読んでください。
花伽藍
こちらも同じく中山可穂先生の作品。表題作『花伽藍』を含む5篇からなる短編集です。
どの短編も違うお話なのですが、女性同士の恋愛を描いてる部分が多くあります。
これはすごく個人的な感想なのですが、どの短編でも恋の終わりというか、下り坂の部分に焦点が当てられているように感じました。
もちろんそこには、切なさや悲しさがあるのですが、不思議と温かく感じるところもあります。
すごく人間味があるというか。
恋とか愛とかが多くの作品のテーマになるのって、人間あるあるだからなのかなって私は思うんですが、その中でも恋の終わりは特に記憶に残りやすい気がします。
そういう記憶と通ずる部分を見つけた時に、うわ〜〜〜にんげんだ〜〜〜 って感想になりますよね。
私はこの短編の中だと、『花伽藍』『偽アマント』が特に好きです。
アマント、っていうのは猫の名前なんですけど、人間同士の関係を描いた作品に出てくる動物、私はなんか好きです。
完璧じゃない、あたしたち
こちらは王谷晶先生の短編集。なんと23篇収録。
すごく色んな女同士の話。
その中にはもちろん名前をつけられそうな関係もあれば、そうじゃない関係もあります。
彼女たちが抱いている感情もすごく様々です。
やっぱり感情とか関係ってグラデーションだから面白いんだと思いました。
私は特に、人間と人間の関係、そこにある感情のオタクなので、とても楽しめました。
私はこの本との出会いは本屋さんだったのですが、装画が推しカプ概念でヒエッ って声出ました。
王谷先生のあとがきも最高なので、是非そこまで読んで欲しいですね。
ババヤガの夜
こちらも王谷晶先生の作品。
暴力だけを心の拠り所にする新道依子が、暴力団に拾われて会長の一人娘・内樹尚子の護衛をすることになる、というお話です。
この導入だけでもすごく面白そうなんですが、むしろ終盤にかけてどんどん面白くなるストーリー構成に脱帽です。
この二人の関係も、二人が互いに向ける気持ちも、名前のつけられないもので。
この名前のない女二人の結びつきが、ハードボイルドなバイオレンスアクションの文体の中で描かれる感じがかなり新鮮で読み応えがあります。
さっき紹介した作品もそうなんですが、名前のつけられない関係って本当はそこら中に溢れているのに、私たちは名前をつけたがるからそこにあるはずの豊かなグラデーションに気づかないんですよね。
それに気づかせてくれる作品は素敵だと思います。
色と色の間にある、無限の色を発見する喜びがありました。
この本は文庫ではなくペーパーバックぽい作りなんですが、カバーも装丁もとても良いので、是非手にとって読んでみて欲しいですね。
さいごに
まずはここまで読んでくださってありがとうございました!
本の紹介をするのもブログを書くのも初めてで、うまくできた自信はないのですが、紹介した本自体は自信を持って面白いと言えるものなので是非読んでみてください。
もし本を読んで感想などがあれば、是非コメントなりTwitterなりマシュマロなりで私の方までお知らせくだされば大変嬉しいです。